耳の治療 2

三十代半ばくらいの、受付の女性は私にそう告げるとパソコンに向き合い淡々と入力作業を続けていました。

これ以上意見は受け付けないという意志が、その態度からみてとれます。

腹立たしくもあったのですが、病院の予約システムはそうなっており、私のように直接来て交渉しようとする患者も居ただろうし、いちいち対応していると業務が円滑に進まないという経験の上での事だろう、

そう思い、自分を納得させつつ病院の玄関を出ました。

またあの予約方法の貼り紙がだめ押しするかのように目に入り、モヤモヤとしながら車に戻りました。他の病院を探さなくてはとスマホで検索すると、隣町ではありますが午後から窓口で予約対応してくれる耳鼻科を見つけました。

耳鼻科の住所は隣町の新興住宅地になっています。

国道を上り、隣町に入りしばらく走ると東側に、ほんの数年前まで山林があった場所が今はすっかり様変わりして、二車線の幅の広い道路が整備されています。その両脇には新興住宅地が建ち並び、大型のディスカウントショップ、飲食のチェーン店、家電量販店などもあり、どの建物も真新しく町は希望と生命力に満ちている気がします。

耳鼻科は大型のディスカウントショップの裏側にあり、オレンジの屋根と白い外壁が印象的な建物でした。

午後の診察開始まで二十分はありましたが、入り口の前にはもう患者と初老の男性が立って並んでいます。

大分早いとは思いつつ私も並ぶことにしましたが、どうやらそれは正解だったようでした。

診察開始直前にはもう、十人ほどの列が出来上がっていました。

 

ー続くー