公園の猫 14

初めて倉井の家に行ってから、土曜日になると倉井の家でお茶を飲むのが恒例となりました。アップルティーかストレートティーを飲み、ビスケットやクッキーを食べ世間話をしました。S子が近くにある評判の良い店で、洋菓子を買って持参する時もありました。

話すのは主に倉井で、S子はほとんど聞き役でした。S子に感想や意見を求めることが多かったのですが、その問い掛けにはいつもユーモアと余裕があり退屈することはありませんでした。何度か訪問しているうち雑然とした居間にも慣れ、家の裏の朽ち果てた不用品も気にならなくなってきました。毎回、同じように登場する猫は毎回同じように窓際の日向で丸まり、二人の会話に反応するかのように時折耳をバタつかせていました。

 倉井は自身のハンドメイド作品をS子に見せて作ってみないかと勧めてきました。

倉井が好きだというフクロウをモチーフに、ピアスやチャームなどが並んでいました。S子は子供の頃から何か作ったりするのが苦手で、工作や絵などの評価がいつも低く、センスの無さを実感していました。倉井にそう言うと、器用そうに見えるのに意外だと驚いていました。

土曜日は倉井と会い、日曜日のほとんどは一人公園の駐車場で時間を潰していましたが、夫は以前のようにS子を求めることも無くなっていました。

避けているのが分かったのか、それとも土日あれだけ時間を潰していれば、さすがに夫も感じるものがあったのか、激しかった夫の性欲は急に無くなってしまったようでした。少し可哀想にも思えましたが行為を無理に求められなければS子もここまで避けることもしなかったはずでした。夫は以前の優しい夫に戻り、S子も次第に時間を潰すことが少なくなりました。